暮しの器 「むぎわら」の日記

元「暮しの器むぎわら」店主の独り言

危ぶまれる大堀相馬焼

約350年の歴史をもつ大堀相馬焼に大きな試練が襲っています。
大堀地区は福島県浪江町にありますが、今回の震災に続く原発事故で避難指示範囲に指定され、恐らく陶工の皆さんが全員避難してしていると思われます。
この原発事故は先が見えませんし、もし収束したとしても皆さんが戻りまた仕事を始めるようになるのにはかなりの時間がかかると思われます。
皆さまに心からお見舞い申し上げますとともに一日も早い事故の収束を願っております。
大堀相馬焼は17世紀の後半に民窯として生まれ代々庶民の生活用具を焼いてきました。最盛期には東日本最大の産地だった(?)のではないかと思います。
私がそのすばらしさに気づいたのは約25年ほどに前に訪れた東北陶磁文化館(宮城県加美町)でした。
現在の大堀相馬焼には確かに課題が多いと思います。しかし中には過去に学びながらも新しい焼きものに挑戦している陶工(例えば松助窯の亀田大介さん)も出てきています。
今後が楽しみでしたのにこんなことになってしまいとても残念です。
それにしてもすべてのものを飲み込んでしまう原発事故とはいったい何なんでしょう。究極の人災なのかもしれません。
なお東北陶磁文化館は他の東北のすばらしい近世陶磁もあります(日本で一番充実した収集品?)ので機会がございましたらご覧下さい。

                           (東北陶磁文化館の図録)