暮しの器 「むぎわら」の日記

元「暮しの器むぎわら」店主の独り言

古伊万里等について

古伊万里は17世紀の初頭に李朝の陶工によって有田で初めて作られました。これが日本の磁器生産の始まりです。
古伊万里の生産は単に焼物に革命を起こしただけでなく、日本人の食生活にも多くの変化をもたらしました。
はじめのうちは、貴重で高価なため一部の特別な階層にしか使用されませんでしたが、江戸の後期になると生産量も増大し、だいぶ大衆化されたようです。
それにしてもいつも不思議に思いますのは、現代から比べたら格段に質素な生活だった江戸時代に、古伊万里のようなすばらしい器が食生活の中で使用されたことです。日本人の食に対する感性(執念?)がこのような器を作り続けさせたのでしょうか。日本は昔から食と器の関係をとても大切にしていたのではないかと思います。
日本の現状を考えると、とても考えさせられます。
器の種類と量はとても豊富なのですが、どれだけ私たちの食生活を豊かにしてくれるものがあるのでしょうか。多くが使い捨ての単なるもの(最後はゴミ)になっているように思われます。もっと、食と器の関係を大切にし、環境に配慮し、食べて生きるということを真剣に考えなければならない時代になっているのではないかと思います。
古伊万里は日本で誕生しい文化遺産ですし、世界にも多大な影響を与えた器です。
美しいものが多く、しかも丈夫で長持ちします。価格も高価なものもありますが、探せばリーズナブルなのものあります。
現代の器の中に少しでも古伊万里はいると、食生活はさらに豊かで楽しくなるのではないかと思います。
当店では常設では展示しておりませんが、今回の企画展で古伊万里等を展示いたしました。